B移植片対宿主病(GVHD

 

GVHDとは、骨髄移植の際に問題となる免疫システムが関係した合併症です。

ドナー(提供者)側の免疫システムがレシピエント(受給者)側の組織を攻撃するために引き起こされます。患者によって重症度に差があり、

骨髄移植後の罹病率や死亡率に影響を与えることが知られています。

骨髄には、血液細胞や免疫細胞の出発点になる造血幹細胞と呼ばれる細胞が存在します。

例えば、白血病に関係している白血球は、この造血幹細胞から色々な刺激によって分化してできた細胞です。

他の血液細胞や免疫細胞も同じように造血幹細胞から分化してできています。

そのため、白血病のように血液に関係した病気が起こった場合、その大もととなる造血幹細胞を健常人のものと置き換えることで、病気の原因を取り除く治療方法がとられます。

GVHDを引き起こす原因は、ドナー側の骨髄に含まれている成熟T細胞(せいじゅくティーさいぼう)と呼ばれる細胞です。

移植後、レシピエント側の樹状細胞(成熟T細胞を活性化する働きを持つ)がドナー側の成熟T細胞を活性化します。

この時に、レシピエントの組織を攻撃するように活性化されると、患者の組織への攻撃が始まります(図7)。こうしてGVHDが引き起こされるわけです。

成熟T細胞にはCD4陽性細胞も含まれているため、抗CD4抗体によってCD4陽性細胞のみを除去することで、GVHDの症状を抑えながら治療することができると期待されています(図8)。

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